冷凍食品を切らない

これはすべての庖丁に共通して言えることですが、冷凍された食材を切るのは絶対に避けてください。
意外と知られていないのですが、注意書きがあってもつい誤って切ってしまう方が多いのです。
鋼は極端な低温になると「低温脆性」と呼ばれる現象が起こり、金属がもろくなって欠けやすくなります。
冷凍食品に庖丁の刃が触れると、刃自体も冷やされてもろくなり、その状態で強い力を加えると刃に過度な負荷がかかり、欠ける原因になります。
ひどい場合は、爪の先ほどの大きな欠けが生じることもあります。
小さな欠けであれば家庭でも研ぎ直しで修復できますが、大きな欠けは簡単には直せません。
ただし、深刻な欠けがあってもすぐに処分せず、まずは購入店にご相談ください。
適切に研ぎ直せば、再び使用できる場合も多くあります。
骨を切るのは避ける

近年、一部のブランドのプロモーションの影響もあり、牛刀や筋引きを使って魚をさばく方が増えています。
確かに水産関係のプロの中にはそれらを使う人もいますが、牛刀や筋引きは本来、野菜や肉、切り身魚などを切るための庖丁であり、刃が薄く設計されています。
そのため、骨を断つような強い力を加える作業には適していません。
SNSなどで職人が牛刀で魚をさばいている動画を見ることがありますが、彼らは魚の構造を熟知しているため可能なのです。
もし「魚をさばくこと」と「骨を切ること」の両方に対応できる一本をお探しなら、出刃庖丁や中華包丁(クリーバーナイフ)が最適です。
洋庖丁を力任せに使うと、刃の歪みや欠けの原因になります。
それぞれの庖丁の用途と限界を理解した上で、正しく使うことが大切です。
食器洗い機を避ける

庖丁は手洗いを強くおすすめします。
特に木製ハンドルの庖丁を食洗機にかけると、柄が傷んだり、割れたりする原因になります。
もしどうしても食洗機を使いたい場合は、ステンレス一体型の庖丁を選ぶと良いでしょう。
それでもやはり、最も安全で長持ちする方法は手洗いです。
食洗機では、油分や細かな食材のカスが完全には落ちきらないことがあります。
それらが乾燥すると頑固にこびりつき、素材によっては錆の原因になることもあります。
また、食洗機の強い水流によって庖丁が他の食器とぶつかり、刃こぼれを起こすこともあります。
さらに、食洗機の使用を続けることで切れ味が著しく低下することもあります。
長く快適に使うためにも、使用後はすぐに手洗いし、水分を拭き取ることを習慣にしましょう。
まとめ
良質な庖丁は、正しく使えば調理をスムーズにするだけでなく、食材本来の味わいを引き立ててくれます。
しかし、繊細な庖丁を誤った方法で扱うと、刃を傷めるだけでなくケガの原因にもなります。
お客様には、ぜひ大切な庖丁を長くご愛用いただきたいと願っています。
今日ご紹介したポイントを守ることで、庖丁の寿命を延ばし、最高のパフォーマンスを保つことができます。
もしこれまでに思い当たる使い方をされていた場合は、これから気をつけて扱うようにしてください。